STORY

祥薫company 設立までの物語

 

 祥薫companyの設立は平成27年3月、盛岡市大通りにある老舗百貨店「サンビル」のリニューアルを、盛岡大通商店街協同組合の阿部事務局長の推薦で依頼されたことに始まります。

老舗と言っても今やサンビルは売り上げが伸び悩み、店子もただ商品を並べるだけ、お客さんの目線で商いを考えてない状況でした。

なんとか食いつないできた余力もいよいよあと数ヶ月しかなくなり、資金もあと半年で底をつく。サンビルの事務局からは「弁護士に相談し債務整理に取りかかりたい。」との申し出もありましたが、大通の阿部事務局長からの「盛岡を作り上げ、盛り上げてきたこのサンビルを潰す訳にはいかない。なんとかならないか。なんとかして欲しい。」との強い想いに応える形で、岩手県出身ではない私の、岩手県でのまちづくりの仕事が始まりました。

創業53年のサンビルは、岩手県の県庁所在地にある、知らない人はいないといわれる、百貨店です。建物も53年経っていれば、創業当時から入っている店子では、二代目が請け負っている店舗もあります。

「県内出身でなく、建築家でもない人間に、いったい何が出来るのか?」

戸惑いました。

しかし、大通の阿部事務局長と、大通の理事長でもあるサンビルの吉田莞爾社長、岩手県庁まちづくりの職員と幾度もの打ち合わせを重ねているうちに、まちづくりには欠かせない、誰もが考える建物ありきのリノベーションだけでなく、サンビルには「人の心のリノベーション」が必要だと感じ、このことを強く提案しました。

「テナントさんと従業員の意識を変えることでサンビルを蘇らせよう。そして、限られた予算の中で最大限の効果を発揮しよう。」

これは言うほど簡単ではなく、意識を同じ方向を向かせることだけに、長い時間を費やしましたが、吉田莞爾社長のリーダーシップと、すべてを私に託してくれたことで、話はようやく動き出しました。

同じように難航したのが建築工事。少ない予算ながら手間のかかる仕事を受けてくれる施工業者さんが全くいない状況でした。

そんな時、サンビルの話を聴いて「やるしかない!!!」と力を貸してくれたのが、山井正人率いる山井建設と滝沢の若手メンバーでした。

同じ頃、サンビルリニューアルの話を聴き「岩手県木材産業協同組合と岩手県木材青壮年協議会から、岩手県産木材を無償提供しましょう!」と提案してくれたのが、マルヒ製材の日當さんでした。

岩手県産木材は質も量も樹種も豊富なのですが、ブランド力が弱く、店舗等人の目につく所での使用は少ないため、利用拡大が思うように進んでいません。そこで、サンビルに岩手県産木材を多用し、その素晴らしさをたくさんの人たちに知ってもらう場にしようと、コラボレーションすることになりました。

サンビルでは、大通側店舗のパーテーション部分に、無償提供いただいた岩手県産木材を多用しています。

Arukokoの内装に木材を多用しているのは、この時に岩手県産木材の現状を知ったのがきっかけです。

素敵な木材、かっこいい木材、個性的な木材の多くの部分が、建材としてではなく、細かく砕かれ、チップにされ、燃料として使われている現状。

知りませんでした。

これを変えたい。木にもキャリアがあるはず。

そのことが、祥薫companyが積極的に木材を使うきっかけとなりました。

サンビルのリニューアルにはリノベーションまちづくりの考え方を数多く取り入れています。

岩手県内でリノベーションまちづくりを進める同志として、常に情報交換をしていたのが、紫波町役場の職員でした。

そして、事ある毎に相談に応じ、背中を押してくれたのが、オガール紫波の岡崎社長でした。

このように、たくさんの人たちに支えられ、何とか形にできたのが、サンビルのリニューアルだったのですが、これ以降、盛岡市内のまちづくりや空きテナント、空き家などを、「何とかしてほしい!」という相談をいただくようになったため、「無責任に仕事はできない。ちゃんと家守会社を立ち上げて、みんなのために仕事をしていこう。」と決めました。

祥薫companyは当初、私一人で立ち上げる予定でした。

しかしその時、他にも取締役も入れるようアドバイスをくれたのが、大通の阿部事務局長が紹介してくださった行政書士の岩野先生です。

岩野先生は行政書士だけでなく、宅建業も行っています。元市役所職員ということで、盛岡の浮き沈みも見てきた方です。

岩野先生は祥薫companyのコンセプトや「家守」という業務内容に共感してくださり、法人登記後すぐに、岩野先生のもう一つの仕事、宅建業の立場から「一緒に仕事しましょう!」とお声がけいただきました。

これが祥薫companyにとって大きな転機となりました。

今では宅建士兼行政書士の岩野先生、元ホテルマンの岩野マネージャーは、祥薫companyにとって欠かせない存在です。

そもそも盛岡大通商店街と薫子を繋げたのは「盲導犬ティム」です。

北海道盲導犬協会の「老犬ボランティア」として、盲導犬だった「ティム」と生活をしていた薫子が、大通で困っていた盲導犬のユーザーさんを助けてあげたこと、その状況を商店街組合に伝え改善策を求めたこと、そのことに対し大通商店街組合も誠意を持って対応してくれたことが、大通との繋がりのきっかけでした。

その後大通商店街で、ティムと一緒に盲導犬普及イベントを開催し、阿部事務局長を中心に、人としての信頼関係を築くことができました。