緊急事態宣言 part2

黄金週間に入る前、主治医の所に行ってきた。
玄関には、コロナに対する医院の取り組み、疑われる方への対応のお知らせがお札のように張られていて、知ってはいるものの、ちょっと恐ろしさを覚えた。

中に入ると受付の知った顔がビニール壁の向こうでほほ笑んでいた。
待合室には誰も居なく、雑誌や添え付けのほうじ茶も片付けられていて、ここでは寒々しさを感じながら、新しくなった保険証と診察券をカバンの中から差し出す前に、私のカルテは看護師に渡っていった。

処置をしてくれる看護師と先生の声がして診察室に入り、いつものように「どした?なんで来たんだよ。」と始まるかと思えば、「大変だ、個人病院が大変なんだ。」と先生から話だした。
今日は立場が逆転、先生の困ったをしばらく聴いていた。
経営にも関わるけれど、コロナの影響で地方に今まで入っていた薬が入ってこなくなっている事が最大の懸念とわかった。
こればかりは、自分ではどうにもならないって。

奥の処置室でいつものビタミン注射をしながら、ふと不思議に思った事を聞いた。
なんで患者さん来ないの?
「……ぜんぜん来ないのよ。」
今まで、来ていた人はどこ行っちゃたの?
「みんながコロナの予防で、手洗い・うがい・無用な外出を控え、おまけにその時にマスクをして出るから、ウィルスを避けられてみんな健康になったのよ。」
みんな健康になった?
「そう、健康に。」
普通の風邪をひかなくなった、ウィルス系の病気に罹らなくなった、って事?
「そう、みんなどれだけ今まで不衛生だったか、って事。」
そうなんだ……だからそんな中で熱が出たら、それはもうコロナ?
「そう、こんなに衛生的になっても熱が出るようならコロナを疑えるって事なのよ。」
人の健康を考えたらいい事よね。
これからも今のような生活をしていけば、無用な病気に罹らないって事だもんね。

「そうなんだけど、患者さんが来ないって事が先生の大変だ!に繋がるから、なんともね。」
ここでも命と経済か……。
「外出自粛制限が緩くなって、前と同じように患者さんが来るようになった時に、きちんと対応できるか……。」
じゃ、今の状態を維持する事が、自分を守る事で周りも守る事に繋がるね。
「そうそう、でもみんながみんな、そう思ってはくれないから、そこが怖い所。」
自分との向き合い方だね。
……ねぇねぇ、そろそろ針抜いて(笑

あと一日で黄金週間も終わり。
マスクを外せない時間が始まります。
マスクの下は見えないけれど、笑顔で過ごそう!
マスクが取れた時にほうれい線が消えているかもよ!

"マスクの下は笑顔❣ "


   癒しの朝日……cose